店舗併用住宅を建てるにあたり、「どんな商材を扱うべきか」という問題は、想像以上に大きなテーマです。
しかし私は最近、この問いには一つの共通した答えがあるのではないかと感じています。それは──店舗というのは、結局“コンテスト”に似ているということです。
たとえば、100人が同じジャンルで商売を始めたとして、そのなかで「価格と品質のバランス」を最も高い次元で実現した人のところに、人は自然と集まります。
これは料理でも、アパレルでも、修理サービスでも同じ。結局のところ人は、“その街で一番良いもの”を扱う店を探し当て、再訪し、誰かに薦めるのです。
では、その一番になれる分野はどう見つけるのか。
答えはシンプルで、自分が誰にも負けないほど知識を磨ける領域を選ぶことだと思います。
たとえば、それがスマートフォンであるなら──
新品も中古も含めて、機能・相場・状態の見極めまで極めてしまい、商圏で最も良いスマホだけを扱う専門店になる。
そうすれば、「あ、スマホ壊れちゃった…どうしよう」という瞬間に、真っ先に思い出してもらえる存在になれます。
実はこれは社会人としてのキャリアにも通じる話で、「あの分野なら、あの人が一番だよね」と思い出してもらえるかどうかが、仕事の価値を決めていきます。
店舗でも同じです。
とりあえず自分ができることを売るだけでは、たしかに多少は売れるかもしれません。けれど、もし近くにもっと品質の高い商品を扱う店があれば、人はそちらを思い出します。
だからこそ、扱う商材そのものは極論を言えば“何でも良い”のですが、自分が一番になれる分野を選ぶことが何より大切なのです。
「このジャンルなら、ここが一番」。
そんな店を地域でつくれたとき、店舗併用住宅という仕組みは最大限の力を発揮してくれます。


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