中古スマートフォン市場が拡大するにつれ、iPhoneの売買に関する安全対策は年々アップデートされています。特に近年は、従来の「探す」の無効化に加え、電子証明書やマイナンバーカードのスマホ登録が普及しつつあり、一部の端末では初期化後にもデータが残存するケースが報告されています。
本記事では、2025年時点で中古iPhoneを売買する際に押さえておきたい最新のポイントを整理し、「安心して売れる・安心して買える」ための注意事項をまとめて解説します。
中古iPhone売買で「探す」が問題だった時代
以前は、中古iPhoneを売却する際の最大の注意点は「iPhoneを探す」をオフにすることでした。
アクティベーションロックが解除されないまま売却してしまうと、買い手側は初期設定すら行えず、いわゆる「文鎮化」した状態となってしまうためです。
しかし、iOS15以降では仕様が変更され、以下の流れで初期化すれば「探す」を自動的にオフにできるようになりました。
- 設定 → 一般 → すべてのコンテンツと設定を消去
初期化の過程でApple IDのパスワード入力が求められ、その時点でアクティベーションロックが解除される仕組みです。
これにより、従来のように「探すをオフにしたかどうか」を気にする必要は大幅に減りました。
2023年以降は「電子証明書」に注意が必要に
2023年から提供が始まった「スマホ用電子証明書」サービスにより、スマートフォンで本人確認の一部が可能になりました。
しかし、この電子証明書は端末の通常ストレージとは別の領域に保存されるため、初期化だけでは完全に削除されないケースがあります。
特にAndroidでは、電子証明書がNFCチップ(FeliCa-SE)に保存される仕組みのため、次のような問題が発生します。
- 端末を初期化しても電子証明書が残る
- 設定したパスワードが不明だと失効できない
- 中古買取時に「証明書残存のため買い取り不可」になるケースがある
デジタル庁も2023年当時、「完全に初期化できない状態が起きうるので、初期化前に必ず電子証明書を失効する必要がある」としており、Androidの中古市場では大きな懸念点となっていました。
2025年6月、iPhoneのマイナンバーカード対応が開始
2025年6月には、iPhoneでもマイナンバーカードを端末に登録する機能の利用が開始されました。
詳細はデジタル庁の公式発表をご確認ください。
「iPhoneのマイナンバーカード」の提供を開始しました | iPhoneのマイナンバーカード | デジタル庁 ウェブサービス・アプリケーション
これにより、スマートフォンだけで行政手続きの一部が行えるようになり便利になった一方、売買の際の注意点も増えています。
しかし、iPhoneはAndroidとは異なる設計のため、状況は大きく変わります。
iPhoneは初期化すれば「電子証明書やマイナンバーカード情報も消去」される
iPhoneでは、マイナンバーカードの情報はApple Payのセキュア領域で管理されています。
これはモバイルSuicaやクレジットカード情報が保存される領域と同じであり、iOSの初期化手順により以下が同時に削除されます。
- マイナンバーカード情報
- スマホ用電子証明書
- Apple Payに登録された各種カード情報
つまり、Androidのように「初期化してもNFC領域に残存してしまう」という問題は、iPhoneでは発生しません。
従来どおりの初期化手順を行うだけで、すべての関連データが安全に削除できます。
とはいえ、売る前に「マイナンバーカードの削除」をしておくのが安心
iPhoneの初期化で電子証明書も削除されるとはいえ、売却前には以下の対応を行うことを推奨します。
- マイナポータルアプリを起動
- 登録済みのスマホ用電子証明書を失効
- マイナンバーカード連携を解除
- アプリをアンインストール
これは、「初期化前に安全な状態を作っておく」という基本的な情報管理の考え方に基づくものです。
iPhoneの場合は初期化後にデータが残らないため必須ではありませんが、念のための安全策として推奨されます。
中古iPhoneを売買するときのチェックリスト
売る側・買う側の両方が守るべきポイントを以下にまとめました。
売るとき
- 「設定」→「一般」→「すべてのコンテンツと設定を消去」で初期化(iOS15以降)
- iOS14までの場合は、絶対に「探すをオフ」にして、アクティベーションロックを解除
- マイナンバーカードの電子証明書を失効
- マイナポータルを削除
- Apple IDサインアウトの確認
- 物理的な汚れ・ケース跡などの簡易クリーニング
買うとき
- 初期化済みで「こんにちは」画面になっているか
- アクティベーションロックがかかっていないか確認
- 画面やバッテリーなど、機能面のテスト
- マイナンバーカード登録時にエラーが出た場合は、マイナポータルの再インストールで解消可能
Androidとの比較から見える、iPhoneの安全性
最後に整理しておくと、電子証明書やマイナンバーカード機能の観点では、次のような違いがあります。
iPhone
- 初期化で電子証明書を含む全データが完全削除
- セキュア領域も初期化に統合されているため残存リスクが低い
- 故人の端末でもマイナンバーカードは自動失効される
Android
- NFCチップに電子証明書が残ることがある
- パスワード不明の状態だと「詰む」可能性
- 正しい手順を踏まないと初期化しても情報が残ることがある
この違いは、iPhoneの暗号化とデータ管理設計が中古市場でも高い評価を受ける理由の一つです。
まとめ
中古iPhoneを売買する際は、従来の「探すをオフ」にするだけでなく、電子証明書やマイナンバーカードの存在にも注意が必要な時代になりました。
ただし、iPhoneは初期化によって関連データが確実に削除される設計のため、Androidのような深刻なリスクはありません。
とはいえ、売却前にマイナンバーカード関連の設定を解除しておくことで、より安心して端末を手放すことができます。
中古市場の安全性が高まる中、個々のユーザーの適切な対処が、トラブルの予防につながります。
十七庵では、暮らしにまつわるお役立ち情報を投稿しています。
今後とも、よろしくお願いいたします😊


コメント